資料番号⑦ダウンウィンド型風向風速計

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近年、日本に風力発電機が多く設置されてきましたが、初期の頃は風車翼の破損や支柱の倒壊事故が多くみられました。設計上の強度不足が考えられますが、設置場所の詳しい風向風速を長期に亘り収集することが風力発電機を開発するのに必要であることがわります。機械工学科では1972年から卒業研究のテーマとして風力発電装置の研究開発が始まりました。当時、無人でデータを記録する風速計は高価で購入できませんでしたので、市販の風速計で東京湾岸の風速を目視で測定しましたが役に立ちませんでした。卒業研究では南極昭和基地用風力発電装置の研究開発にあたり、風速のデータは極地研究所から提供を受け装置の設計製作を行いました。

この風向風速計は、風力発電装置の研究開発に必要であると考え、風力エネルギー測定を目的に1979年から1980年機械工学科卒業研究として開発・設計されたものであります。この風向風速計の特徴は、回転する翼がタービン翼と軸流圧縮機翼を併せもつことにより、摩擦トルク変動の影響が小さく、タービン翼のみの場合と比べ風速指示誤差が小さいことと、風向と風速の測定に非接触検出方式を採用していることであります。風向風速データ収集装置はマイコン制御型で、10分毎に標準時間とその間の平均風速、平均風向、最大風速が記録されます。

この装置は、1982年9月船橋校舎交通総合試験路の近くに設置され、以来1994年11月まで12年間風向風速データを収集した後、ここに展示したものであります。記録データは製本され工作技術センターに保存してあります。

装置概要

型式 TCM-03
ダウンウインド型タービン翼と軸流圧縮機翼を併せもつ風向風速計
回転翼 直径 360mm
2枚翼アルミニウム合金
風向検出 光電式ロータリエンコーダ16方位検出
風速検出 無接触式電磁ピックアップ
風速 50m/s
回転数 2,000r/min
寸法 長さ 350mm
高さ 650mm
重量 10kgf